旅立ち207
「こいつは何だ!?どこから連れて来た!?」
「あっ」
この取り囲まれる状況に、リーフは自分が邪魔な存在なのだと気付いたが、礼人はリーフに目配せして一度だけ頷く。
さっきの「ごめんなさい」は、リーフがいるにも関わらずに事を進める事への謝罪。
やろうと思えば、その場から逃げ出してうやむやにする事も出来たが、それをせずに、
「私の耳と、この服装を見ても分からないものですかね?」
耳に掛かる髪をはらって耳を強調し、その後は自分の襟元を暑そうにパタパタして服を強調する。
その、見て分かりませんかという挑発的な態度に、
「お前!!」
周りのエルフ達は、マナを取り込んで魔法を使う準備をしたが、
「アフレクションネクロマンサーを御存知で無い?」
礼人は体内に溜め込んでいた霊力とマナを結合させて、
「うをっ!?」
「なんだ!?」
銀の羽を大きく広げる。
小虫を払い除ける大きなアゲハ蝶の羽。
その大きな羽にエルフ達は距離を取り、羽ばたくと渦巻く力に圧倒されて、エルフ達は怯んで身を縮める。
「くっ……」
礼人からの放たれる力に、文句の一言も言えないが、ここで引き下がれば周りの奴等に馬鹿にされると思っているのか、憎々しそうに礼人を見て引き下がろうとしない。
もちろん、礼人としても引き下がる理由は無いのだから、決して力を弱めることはせずに威嚇し続けると、
「皆様、お止め下さい!!私達は仲間なのですよ!!」
リーフが間に入って、仲裁の役を買って出る。




