夢の中4
礼人は天井を向くと、肩で呼吸をして溜息を吐き出す。
(……まだ我慢しないといけないのか)
礼人の我慢、それは家族と暮らすことであった。
少し雑な言い方になるが霊力というのは生命力の強さであり、特殊な力が無くても子供の時には産まれたばかりの生命力の強さで疑似的な霊力を手にすることがある。
だが、礼人は幼少期の頃はその疑似的な霊力が起きなかった。
そう聞くと、霊力が当初無かったせいで家族といざこざがあったかのように思うかもしれないが、そうではない。
霊を見る現象は年を取れば次第に収まり、大人になった時には霊を見ることはほぼ無くなるのだが、礼人はその逆が起きてしまったのだ。
幼少期の頃は霊力の「れ」の字の無い子供で、周りの霊能者達は礼人のことを気にも留めず、祖父である二月も可愛い孫として接していた。
何一つ問題の無い日々、普通に暮らしていた礼人にある日問題が起きた。
それは、ただただ普通に生活していただけなのに霊力が目覚めてしまったのだ。
なぜ、急に目覚めたのかというとそれは分からない。、
芽を出していなかった種が突然芽を出したように、何か理由があった訳ではない。
だが、この突然の霊力の開花が礼人を不幸にする。
見知らぬ人が家にいるようになり、時には飼ってもいない動物が徘徊するのだが、子供の礼人はその見知らぬ人と動物を追い出すのではなく、親戚のおじさんおばさん、ペットのように接してしまう。
それを見た礼人の親は、礼人が小学生になった途端に妄想癖が付いたのかと思ってしまったのだ。
ここで疑問に思うかもしれないが、霊力を持つ祖父の血筋である親がそのように思ってしまったかのか?
それは礼人の親は霊能者では無かったからだ。