旅立ち200
馬のように籠を引っ張ていたであろうオーク達も、周りの者達と同じように顔色は悪く、一目見ればわざとでなく体調が悪くて手を止め、足を止めてしまったのは察することが出来るのに、
「籠を引っ張る事すら出来ないのか!?」
「どうか!!お許し下さい!!」
オークの四人のうちの一人が慌てて、怒りを露にしているエルフの前に跪き、神に祈るように手を握って許しを請うが、
「ふざけるなぁぁぁぁぁ!!!!」
神に祈るように手を握った所で、目の前にいるのは怒り狂うエルフは決して神ではない。
エルフは籠に備えられていた、鞭のように細い木の棒を手にすると、
「ひっ!!」
『ヒュピン!!』
容赦無くオークへと振られると、小さな悲鳴と空気を裂く音が聞こえる。
悲鳴を上げたオークは頭を地に伏せて、手を後頭部に回して深く深く、神にすがる為に深く祈る姿になるが、
「お前らが!!お前らが!!」
『ヒュピン!!ヒュピン!!』
怒りで言葉を理解することが出来なくなった偽りの神に、彼の祈りが届くはずも無く、
「お許しを!!お許しを!!」
『ヒュピン!!ヒュピン!!』
怒りのままに暴力を振るう偽りの神、地位だけで塗り固まれただけの偽りの神なのに、
「「…………」」
周りにいるオーク達とエルフ達は逆らうことが出来ず、出来る事はと言えば、どこにいるかも分からない神に、この惨状を早く終わらせて下さいと心で祈り、
『ヒュン!!』
「ぎゃっ!!」
その祈りが届く事であった。




