旅立ち197
「なんでそこまで徹底的にするのかは分かりません……鉄騎兵は敗走した者をある程度まで追い掛けて、ある程度距離が離されると戦場に戻って、地に伏せている者達を……」
そこまで、話すと自分の足を持つ手が震える……
それは怒りに震えているのか、怯えて震えているのか……
「事情は分かりました……ありがとうございます」
この先の事を聞かなくても、想像が出来た。
戦いが終わった戦場は処刑場と化して、処理が行われる。
鉄騎兵は、一人も生かしておかないと。
一人でも息を残し、この世界に命を繋ぎ止める事を許さない。
そんな異常とも言える殺意が、敗走先の合流地点に向かう理由。
奴等は徹底的に殺す、逃げている敗走者を追い殺せるのは当たり前として、戦場に残された者が運良く生き残る事を許さずに徹底的に殺し、死んだ者すら納得するまで殺し続ける。
その行いが時間を掛けさせ、敗走先の合流地点で十分に間に合うという算段なのだ。
こうして、敗走先の合流地点で十分に間に合うと納得した上で、赤い霧が立ち込める森の中を突き進み、合流地点へと向かう。
「この先はダメです。ここは迂回しましょう」
「くっ……何度も何度も現れて!!」
礼人が赤い霧の中に隠れている、赤いモノを感じ取ってくれるお陰で、赤いモノと対峙しないで進む事が出来る。




