旅立ち192
その願いに対して、
「分かりました。私の背に」
リーフは快諾して礼人を背負うと、それからは、みんなが代わる代わるにおんぶをしていく。
こうして、礼人だけが体力を温存しながら、
「……っ!?皆さん、足を止めて下さい!!」
「っ!?またですか……」
背中に乗りながら、事ある毎に指示を出す礼人に、ビレーがあからさまに辟易する。
みんなにおんぶをして貰ってからは、一切歩いていない礼人が出す指示に、みんなが険しい顔をして礼人の方を見る。
その険しい顔には不満と憤りが混じり、今にも文句言いたげそうな顔で、これ以上何かあろうものなら怒りをぶちまけそうな雰囲気が漂うが、
「あっちに進んで下さい」
礼人はその雰囲気に押し潰される事無く、進むべき道を指し示すと、
「くそっ……」
一人のオークがイライラを口にしてしまう。
「おいっ!!」
誰もが我慢している中で、イライラを口にしたオークを、他のオークが戒めるが、
「だって仕方無いだろ!!軍が壊滅したって聞かされたら……」
戒められてもオークは、自分の気持ちを吐露してしまうと、みんな同じ気持ちだったのだろう、険しい顔が震えて目に涙が浮かんでしまう。
「……行きましょう。敗北したとしても、そこで終わっていない人もいます。その人達と合流しなければいけません」
「そうだ…みんな進むぞ!!アフレクションネクロマンサー様が動いている赤いモノを見てくれているが、我々も出来るだけ気を付けるんだ!!」
それは辛い知らせだった。




