旅立ち189
もちろん、上流階級のエルフに取り入る為には、それ相応のリスクもあるだろうし、いきなりアフレクションネクロマンサーだと言いに行けば、捕らえられる可能性だってある。
そう考えれば、最初にマントを羽織って姿を隠すのは礼人にも得のある選択でもある。
「……みなさんは勘違いしてます。私はアフレクションネクロマンサーの前に、ただの庶民です」
「庶民様!!」
「やはり位の高いお方なのですね……」
庶民というのは大したことの無い、一般人というつもりのニュアンスで言ったのだが、我々は庶民というのは一般人という認識で使っているが、それは人権を権利を有する者で、国から存在を認められて許されているという意味。
そう考えれば、庶民というのは高貴な身分になってしまう。
「あぁ…その……」
礼人に差別的な考えは無いのだが、上手く伝えられ無かったことに、どうやって自分の考え方を伝えるかと思案して、少しだけ言葉を濁らせたのがいけなかった。
「…………」
リーフは、アフレクションネクロマンサー様とはいえ、礼人が言葉を濁したのは地位を重んじる人で、自分達の立場に反応に困っているのだと、伏し目がちに合わせていた目を、完全に下に向けて落胆してしまう。




