旅立ち183
遺していく仲間に哀悼の意を示しながら、自分達の行くべき所を目指す。
生き残ったリーフ達は森の中をひたすらにひたすらに、ただただ仲間達がいる所を目指して進んで行く。
高低差の激しい山道を、道無き道に生い茂る掻き分けながら、
「はぁ…はぁ……」
汗を垂れ流し、礼人は息を乱す。
リーフも、周りのオーク達も深く息を吸い込みながら進んでいるが、
「はぁ…はぁ……」
礼人のその様子は、異常であった。
「アフレクションネクロマンサー様?」
「ごめんなさい……」
礼人は息を乱しても、周りのみんなの迷惑にならないように必死に着いて来き、
(やっぱりこうなるか……)
この異常な疲れの原因に、苦虫を嚙み潰したような思いをする。
礼人が最初にこの世界に来た時「重力が!!」っと叫んでいたが、あれは上空にいたからというのもあるが、
(でも…この程度の世界の違いで助かった……)
実際、大地に引っ張られる力が、自分が住んでいた世界よりも強く、息を吸う空気はどこか薄い。
これはどういう事かというと、長針と短針のあるアナログ時計を思い浮かべて貰いたい。
礼人がいた世界を12時ピッタリだとした場合、礼人が感じている違和感から、リーフ達がいる世界は12時5分位の所にあるのだろう。
世界というのは連なり、一つ先……この場合なら12時1分の世界は非常に世界に似通っており、1分先位なら特に問題無く過ごすことが出来る。
ただ、これが1分…2分……と離れていく度に文化も言語も、さらには環境すら変わっていく。
極端な話をすると、12時30分の所にある異世界に礼人が跳ばされていたなら礼人は、その異世界の環境で一瞬で死んでいたと言っても過言では無い。




