旅立ち182
「そこら辺の詳しい事は企業秘密です」
「キギョウ?」
聞きなれない言葉に、オーク達は不思議そうに首を傾げるが、
「とっても内緒って意味ですよ。ねっリーフさん」
「えっ…はいっ!!」
お茶目に礼人はウィンクをしてみせながら、事情を知っているリーフには小さく舌先を見せて、お道化てみせるのであった。
みんなで話をしながら無事だった食料を食べ、
「それでは行くぞ!!」
「はいっ!!」
腹ごしらえが終わって、みんなの元気が戻ると燃え盛った森を後にするのだが、
(……みんなごめんね)
リーフは、燃え盛った森の中で亡くなった仲間達の亡骸を、置いて行く事に申し訳無い気持ちで振り返る。
振り返りもせずに進んで行くみんなが無神経で、亡くなった者を憐れむ気持ちが無いのでは無く、
「……行きましょう。生きている以上は生きられる選択をしないと、亡くなった人達が浮かばれません」
「はいっ……」
自分達は生きている……足を前に出して大地を踏みしめる事も、息を吸って肺を空気で満たす事も出来る。
仲間の犠牲によって、自分達が生を手にしたからこそ、明るく振舞う。
みんなのお陰で、生きていると伝えるために……




