旅立ち181
「……ありがとう…なってみせるよ」
彼女の……リーフの澄んだ瞳が慰めからではなく、本心から言ってくれている事を感じ取ると、礼人は静かに息を吐き出してそのまま眠りに付く。
「……アフレクションネクロマンサー様か」
自分が思っていた英雄とは違う…だけど、アフレクションネクロマンサー様になろうとしている……みんなの英雄に……
リーフは横で眠りに付く礼人を一瞥して、彼がいつかアフレクションネクロマンサー様になる方だと信じて、体を小さくして夜を過ごすのであった。
こうして各々が静かに、息を潜めて暗い夜を過ごして朝を迎えたのだが、
「はぁ…はぁ……」
「アフレクションネクロマンサー様、大丈夫ですか?」
「大丈夫です…心配を掛けて申し訳ございません……」
礼人は息を切らしながら山の中を進んでいた。
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「みんな食料を取りに行こう……」
朝日が昇ったばかりの頃、食料が燃えカスになったと落胆しながらも、食べなければ生きられないと拾いに行こうとするビレー達に、
「食料なら、昨日のうちに回収してあります」
礼人は「えへんっ」っと胸を張って、茂みの方を指差してそちらに誘導すると、
「おぉ!!」
「食料を、お一人で運ばれたのですか!?」
茂みの中には双頭のトカゲが運び込んでくれていた食料があり、無事だった食料にみんなが色めき立つ。




