旅立ち175
何か考えがおありで?」
「うん……考えというよりお願いをしたんだ」
そう言ってアフレクションネクロマンサー様が暗い森の中の方を見つめると、
『……カサ』
近くでは無いが、遠くでも無い所で葉が擦れる音が小さく聞こえた。
「今のは?」
「さっきの双頭のオオトカゲだよ」
「っ!?だってさっきは!?」
「探すのは無理だとは言ったけど、向こうからコンタクトを取ってくれるなら話は別だよ」
そう言ってアフレクションネクロマンサー様は、手の平から一匹の淡く光る蝶を宙に舞わせる。
礼人はこの場所まで逃げる際、こっそりと光の蝶を足元から生み出して森の中に行かせていた。
それは周囲に敵がいないかという索敵の為もあったが、
(食料を持って行かないと……)
自分の体の中にいてくれている魂が、燃え上がるあそこに食料が残されていることを教えてくれたが、礼人が持ち運ぶのは不可能。
だからと言って、この状況下でオークのみんなに食料を取りに戻って欲しいと言うのは気が引けて……けれど、なければならない物。
誰かにやって貰わなければならないことを、誰かに……
(……もしもし聞こえますか?)
出来たら怪我が浅く、重たい物を軽々と運べる「誰か」の心当たりが一体だけいた。
(すみませんが、食料を持って来て貰えませんか?このままだと自分達、飢え死んでしまいます)
こちらから探す労力を割く事は出来無いが、飛ばした光の蝶を向こうが感じ取ってコンタクトを取ってくれるかもしれない。




