旅立ち173
礼人は自分の事を取り繕う事無く、自分がやろうとしていたが上手くいかなかった事、鉄騎兵こと双頭のオオトカゲが自分達を見張っているという事を伝えると、
「そういうことですか……」
「双頭のオオトカゲの口ぶりから、リザードマン達が襲って来たのは偶然で、自分達にけし掛けて来た訳では無いと思います」
森の中を見つめるビレー、自分達を救ったとはいえ得体の知れない鉄騎兵が森の中にいると思うと気が気でないのだが、
「それは、場所が分かったりはしないのですか?」
「ごめんなさい……中途半端な霊なら簡単に感じ取れるんですか、あれ程までにしっかりとした意識を持った霊は、離れて闇に紛れるというのを怠らないから、探さないと見付けれないんです」
みんなを叩き起こし、双頭のオオトカゲを探し出して戦っても悪戯に被害を出すだけで意味が無い。
近くに敵がいるというのは嬉しい状況では無いが、少なくともアフレクションネクロマンサー様がいれば、双頭のオオトカゲがすぐにでも自分達を襲って来る可能性は少なく。
「……もう眠りましょうか。明日の朝には、ここから離れなければなりませんから」
「そうですね」
傷付いた体を癒す為の薬は無く、出来る事と言えば食料を……
「……仕方あるまい」
食事を取る事位かと思ったのだが、食料はあの燃える炎の場所に置いて来てしまっていた。




