旅立ち170
ビレーは、何をしたのか今すぐにでも聞きたい思いであったが、アフレクションネクロマンサー様の腕がダランと垂れ下がっているのを見て、アフレクションネクロマンサー様も限界なのだと悟る。
全員が満身創痍なのだ。
炎の中で戦ったみんなの疲弊を考えれば、すぐにでも休みたいが、炎に囲まれたここでゆっくりする訳にもいかない。
「……リーフ動けるかい?」
「大丈夫です。腕が痺れるだけで動けます……」
「そうか……アフレクションネクロマンサー様も、念の為に我々の中に隠れながら移動して下さい」
リーフが一人で立ち上がり、自分に構わなくて大丈夫という意思表示なのか一人で歩き出すが、その歩みはノロノロと遅く、それに続いて歩き出したビレー達もトロトロと精彩を欠きながら歩き出す。
命を懸けて戦っていた時には、戦う事にだけに集中力を尖らせていたのだろうが、戦いが終わって集中力が丸みを帯びると、炎に焼かれた体の痛みの感覚にも神経が回り、全員がしんどそうにしている。
もしかしたら、ビレーがアフレクションネクロマンサー様に何をしたのかを聞きたがったのは、この状況を何として貰えるのではと、期待していたのかもしれない。




