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旅立ち165
「あぁぁぁぁぁぁぁぁ!!!!」
雄叫びを上げて威嚇し、背中の雷の帆で自分の身を包むが、自分の身を包めるほどの雷程度でリザードマンの進行を止める事が出来るはずが無い。
このまま無抵抗に近い形で、迫られてはいけないのに……
(私達を使って!!)
(……っ!!)
頭の中に響いた魂の声、それは礼人の思考に一つの生き残れる可能性を生み出し、
「やってやるよぉぉぉぉぉぉ!!!!」
覚悟を決めさせる。
礼人には霊力とマナを融合させる以外にも、魂を融合させることが出来るが、疲弊している体への負担が大き過ぎて、下手をすれば体のどこかに後遺症を残す可能性もある。
生き残れるという可能性と、後遺症を残すかもしれない可能性。
明暗を分けるではなく、明暗を共にする行為。
「はぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ!!!!」
それでも、ありったけの霊力と全ての魂の力を借りて、空も大地も薙ぎ払う暴風雨となろうとした時、
(止めろ……お前はまだ存在しなければならない)
(誰だ!?)
魂達とは違う声が聞こえると、目の前にいたリザードマンが忽然と姿を消す。




