旅立ち154
この乱戦状態になっては指揮を執っているオークに、仲間を戻すようにお願いすることは出来無いだろうし、ドッジボールみたいに目測で投げてリザードマンに当たれば良いが外してしまったり、仲間のオークに当ててしまっては目も当てられない。
「うぉぉぉぉぉ!!!!」
「うぁぁぁぁぁ!!!!」
炎の中から聞こえる雄叫びは、どちらの声なのか分からない。
一方的にどちらかが攻めている声ではなく、互いに滅ぼし合う為の争っている時の雄叫びが聞こえる。
(やるしかないか……神よ、私に御加護を)
これ以上、時間を変える訳にはいかない。
手の中に作り出していた雷球を、二匹の蝶の形に作り変えて、
「これから皆さんを援護します!!」
空に飛ばす。
空を飛んだ二匹の蝶は探索する時に使う小さい霊力の蝶とは違う、相手の身動きを止める為の雷を纏った大きい蝶。
霊力はあくまでも自分の体の一部のため、ただの霊力の蝶なら、今の礼人なら大きくても操るのに苦難する事も無いのだが、霊力を雷にしてしまった時点でエネルギーになってしまう。
エネルギーになってしまった時点で礼人のコントロールから離れてしまうのだが、そこに霊力を混ぜ込むことで形を形成して霊力で操っている。
雷を纏った大きい蝶を作り出した時点で、霊力と雷の比率は3:7位で、とてもじゃないが動きながら操る事など出来無い。




