旅立ち146
ここで無理をさせて、リーフの体に一生物の傷を負わせてしまったらという思いが、判断を鈍らせてしまい。
「ビレー隊長!?」
「分かっている!!」
分かってはいる……が、もう少しだ考えをまとめる時間が欲しい……
自力でリーフが返事が出来るほどに回復してくれれば……
このまま、リザードマン達が牽制を続けてくれて、時間を稼げるのではと思ったが、森の中がザワザワと蠢いたのを感じ、
「伏せろ!!」
アフレクションネクロマンサーが棒立ちになっているのに気付いて、腕を伸ばして胸倉を掴むと自分の方へと引き寄せ、
『ボヒュ!!』
アフレクションネクロマンサーが立っていた所に槍が飛んでいく。
「くっ……」
どうやら、アフレクションネクロマンサーの小さな体格から、エルフだと勘違いされてしまったらしく、
『ギャッ!!ギャッ!!』
『クゥオ!!コッコ!!』
リザードマン達はアフレクションネクロマンサーを狙う事で話をまとめたのか、闇に包まれた森の中がザワザワと蠢く音が一段と強くなる。
(……置いて行けば)
ほんの少しだけだが、ここで狙いを付けられたアフレクションネクロマンサーを囮にすれば、リーフを無事に連れ出すことも出来るのではないのかと、思ってしまうが、
「それを…やったら……私はおじいさまを許さない!!」
悪魔の考えをしたのを見透かされてしまったのか、リーフは声を上げるだけでも苦しいはずなのに、小さな声ではあるが、しっかりとした怒気を含んだ声をぶつけてくる。




