旅立ち133
炎の中で身を隠して突撃したリザードマンであったが、
「ふざけるな!!」
オークがハンマーをグルングルンと振り回して、近付けば力の差で叩き殺すと牽制されると、
『ボッ!!』
このまま突撃するのは分が悪いと、早々に軌道を変えて炎の海の中に帰るが、そのまえに嫌がらせで火球をオークに目掛けて吐き出すのであった。
「きさま!!」
オークは自分に吐き出された火球を、振り回していたハンマーを叩き付けて、炎の中に逃げ込んだリザードマンを追い掛けようとするが、
「行くんじゃない!!相手がどれだけいるのか分からないんだぞ!!」
ビレーの一喝で、リザードマンの挑発に乗って炎の中に突っ込もうとしていたオークは足を止める。
「リーフ!!」
「もうやってます!!おじいさま!!」
リーフは自分の周囲が燃え上がった瞬間、食事で取り込み、睡眠によって練られたマナで障壁を作り出していた。
相手が自分達を直接狙ったのではなく、周囲を囲むようにしてくれたのは運が良かった。
運が良かったその理由。
暗闇の中ではリーフの巨体な体格はエルフではなくオークに見え、オークに見えていなければマナを扱えるエルフであるリーフは真っ先に火球を撃ち込まれていた。




