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旅立ち125
「ありがとうございます。リディ様」
上機嫌な時に見せる仕草に、気休めで言っているのではなく本心から言っているのだと分かり、レンスは垂れていた頭を更に深くして、リディ様からの言葉に感謝の意を表す。
そんな深々と頭を下げるレンスに、二度三度と頷いてみせ、
(リミィ…あなたは向こうの世界に行ってしまったのね……)
リディは、この世界で最期を向かえる前のリミィと話した事を思い出す。
「覚悟は決めていたけど……アフレクションネクロマンサーのマネをするというのは、やっぱりこうなってしまうのね……」
「リミィ……」
リディの記憶の中、そこには真っ白なベッド上に、純白なドレスを着込んだリミィが横たわっている。
まるで、これから結婚式を執り行うかのような出で立ちであったが、リミィの顔には生気が無く、それ以上に目立つのが、
「なんで…私に早く言ってくれなかったんだ……」
ウェディンググローブのように純白で美しいロンググローブの裾から、赤い怨念が忌々しい顔を覗かせる。




