旅立ち118
大広間に雪崩れ込んで来たオーク達。
その腕の中には、食料が詰め込まれているであろう、大きなタルが抱き抱えられている。
彼等はリーフとの約束通りに、お腹一杯に出来るだけの食糧を奪取して来たのだろう。
彼等も彼等で、リーフとの約束を守るために苦労をして来たのは、
『『『ガシャガシャガシャガシャガシャガシャ!!!!』』』
彼等を追って来る、鉄騎兵の足音から理解することが出来る。
「誰も欠けていない!?」
「はい!!誰一人欠けていませ……ビレー隊長!?」
自分達は無事であり、姫を見付ける事が出来たオークは急いでこの場から離れようとしたが、地面に倒れているビレーを見付けると、タルを地面に置いて助け起こしに行く。
地面に倒れ込んでいたビレー隊長を抱き起こし、
「お怪我は!?」
「すまんな……軽く体を殴られたが、打ち所が悪かった」
ビレーは強く殴られた腹を、さも、お腹が空いたかのように軽く撫でまわすが、鉄騎兵が放った一撃は間違い無く体の芯まで届いており、自力で立つのは厳しいのか、肩を貸してくれている部下のオークにもたれかかってなお足が笑う。
ビレー隊長の様態に、ただならぬ事を感じながらも、用の無くなった拠点から逃げおおせるためにも無我夢中で、この場から離れようとしているのに、
「みんな待って!?」
「ビレー隊長は私達がお連れしますから早く!!」
「鉄騎兵が目と鼻の先まで来ているのです!!」
待ったを掛けるリーフの声に、状況を説明する為に足を止めると、
「グォォォォォ!!!!」
自分達が大広間に雪崩れ込んだように、鉄騎兵達も大広間に雪崩れ込んで来る。




