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アフレクションネクロマンサー 序章  作者: 歩道 進
夢の中
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夢の中31

アニーが飛ばした檄が気付け薬になると、雪に伏せていた者達がハッっとなって雪を蹴って前のめりに、転がるように走り出す。


(距離を取らなければ……)


振り返りもせずに鋼鉄の巨人から離れるが、鋼鉄の巨人は再び両の手を挙げて一人の霊能者に狙いを付ける。


運が無い、まるでロシアンルーレットの弾丸が当たってしまったかのような不運。


狂乱する象のように、伸ばした鋼鉄の腕が象の牙のように迫りくる。


『ごぉぉぉぉぉぉ!!』


鋼鉄の巨人が獰猛な雄叫びを上げた瞬間、


『ブシュ!!!!』


何かが勢い良く突き刺さる音が聞こえる。


それは決して想像したくはないモノ、中に液体が詰まっている者が、何らかの理由で貫かれた音。


裂け目から垂れる液体は浅黒く、


「はよ離れるんじゃ!!」


人の血とは似ても似つかないものであった。


鋼鉄の巨人が腕を振り上げた時、二月も例に漏れることなく雪の上に突っ伏したのだが、それは怯えて腰が抜けた訳では無い。


二月はあくまでも鋼鉄の巨人の腕から逃れるには不様でも、雪の上に倒れ込まないといけないと判断したに過ぎず、攻撃から逃げるのではなく避けるために雪の上に伏せた二月の視線は鋼鉄の巨人を見ていた。


二月の目の中に映る鋼鉄の巨人は文字通り鋼鉄の鎧であったが、


(なるほどのぅ…そういうカラクリと来たか……)


鋼鉄の巨人という大きさ以外のモノを見ている。


二月は鋼鉄の巨人を見る時、自分の目に霊力を集中させていた。


これも霊力を好きなように操ることが出来る二月だからこそ出来る芸当で、一か所に霊力を集中することでその部分に特殊な力を付与することが出来る。


今なら、目に霊力を集中させることで表面的な部分だけでなく、内面を見ることが出来る霊視を行っている。


普通に見れば鋼鉄の巨人は外からは鎧の妖かもしれないが、霊視を行って見た鋼鉄の巨人の中は苦悶と怒りで満たされ、それはまるでの悪霊で膨らませた水風船のようであった。


(やはり、これは誰かが作ったのかのぉ……)


そう思うのは鎧や人形が動いたりする時は何かが、憑依したり魂が宿ったりする訳なのだが、そういう時は大抵一つの存在に一つのものが取り付いたりする。


もちろん例外もあるが、それは例外中の例外であり、例えば人の代わりに呪いを受け止める物に大量の霊が取り付いてしまったり、戦争で多くの人が亡くなって霊が溢れかえっている時などに起きてしまう。

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