旅立ち104
礼人は、リーフの大剣に力が宿っていくのを見て、
「……マナか」
「そうです!!この剣は鉄騎兵と戦う為に作られた特別な剣です!!」
紋章が浮かび上がった大剣に宿ったのが、彼女自身のマナであると気付くと、なるほどなと理解する。
鉄騎兵の中身は怨霊の塊、物理的な攻撃で削るより、マナのエネルギーで怨霊を消し去る方が効率は良く、現に礼人も霊力とマナの合わせたエネルギーで猛威を振るっている。
そういう剣を持っているという事は、彼女はもしかしたら霊能者と同じような死霊を相手にするタイプの人なのかもしれない。
もし彼女が死霊に対するスペシャリストなら、何とかなるのかと思ったが、
「私がアフレクションネクロマンサー様を守る!!」
極限状態とはいえ何か、リーフの剣を構える姿勢はどこか力んでいて……武器である剣に頼るのは当たり前なのだが、剣にすがるように握り締めているような雰囲気がする。
(もしかしてこの人は……)
体格の大きさで、自分より年上の女性だと思ってしまっていたが、背格好が高いだけで少女兵なのではないのかと勘付くが、
「そう…あなたがアフレクションネクロマンサーの御付きで、相手をするというのなら、それでも良いわ」
勘付いた所でどうにもならない。
敵は、子供が相手にしていると分かった所で、処刑の執行を取りやめてはくれないだろう。
「来なさい!!」
リーフは自分達に迫る鉄騎兵に、怯まないように精一杯の咆哮を上げ、礼人も生き残るために、今一度立ち上がろうと足に力を入れるが指先一本動かない。




