旅立ち103
約束を反古にし、アフレクションネクロマンサー様を殺そうと鉄騎兵をけしかける彼女に、死の恐怖よりも怒りが勝り、何が何でもアフレクションネクロマンサー様を守ろうと立ち向かう姿勢を見せる。
その勇ましい姿に礼人は、
「ダメだ…逃げるんだ……」
「アフレクションネクロマンサー様!?」
自分の事を守ろうとするリーフに感謝しながらも、ただ剣を振るうだけでは無駄な抵抗にしかならないと悟ってしまう。
根本的な違い、同じネコ科でも猫と虎では大きさも力も違うように、同じ人の形をするものでも力が違い過ぎる。
リーフの体の中から感じるマナは弱々しく、疲弊している自分よりもまだマシ程度、それに対して自分達に迫ってくる鋼鉄の巨人の怨霊の濃さは、今の自分達に太刀打ち出来る代物ではない。
ここで自分が殿を務めれば、彼女と倒れ込んでいるオークが絶対に助かるとは言わないが、それでもまだ可能性はある。
リーフの献身的な行為に感謝しながらも、その献身的な行いは実を結ばないと伝えたが、
「諦めないで!!」
今度はリーフが、覚悟決めてしまった礼人を鼓舞すると、彼女の大剣に光りが線になって走ると紋章が浮かび上がる。
まるで物語の中に出てくる聖剣のように、力が宿っていき、
「アフレクションネクロマンサーを信じる者が、アソリティの剣を使うなんて皮肉ね」
礼人の光の羽のように、力が宿っていく不思議な剣であったが、鉄騎兵を連れていた彼女は、その大剣の事を知っているらしく、驚くというよりは物珍しそうに大剣を見るのであった。




