旅立ち102
普通の鉄騎兵はオークに匹敵し、負けず劣らずな力であるが、この特別な鉄騎兵は違う。
オークに勝るとも劣らない、全てにおいて優位に立つ。
俊敏な動きを求めても、オークよりも高い腕力に強固な肉体を。
強大な力を求めれば、オークよりも身軽で耐久性のある肉体になる。
まさに、オークの上位互換と言える存在。
現在の普通の鉄騎兵から、この特別な鉄騎兵が配備されれば、この戦争は我が軍が勝利を掴むと言っても過言では無いのだが、この特別な鉄騎兵を作れるのはリミィ様だけ、しかも簡単に作れる物ではなく、日数が掛かるとのこと。
リミィ様が心血を注ぎ、精神を削って作り出す特別な鉄騎兵、それを少年はあしらってみせた。
こんな事をやってみせる少年は、アフレクションネクロマンサーかもしれない……とはいえ、約束通りに見逃して良いのか?
自分達にとって、最大の敵になるのではないかと、そんな事が頭の中でグルグルと駆け巡っていると、
『『カシャッガシャ』』
「約束を守ってよ!!」
自分の横にいた鉄騎兵が勝手に前に出て、少女が叫び声を上げる。
約束を守るなら……
「誰が1体だけって言ったかしら?その2体をどうにかしたら約束を守るわ」
「酷い!!酷過ぎる!!」
リーフは叫び声に怒りを滲ませ、アフレクションネクロマンサー様を庇う為に前に出ると、自分の丈にに見合うだけの巨大な剣を構えて鉄騎兵達に対峙する。




