旅立ち101
鉄騎兵に吹き飛ばされたものの、怨霊を内包する膜のお陰で地面に倒れこむだけで済んだ礼人。
「アフレクションネクロマンサー様!?」
リーフは地面に倒れ込んだ礼人に駆け寄る。
これで痛み分け…礼人も壁に叩き付けられたが、それでも足を切られた鉄騎兵も地面に沈んでいる。
これでアフレクションネクロマンサーだと証明出来たかと言うと、
「…………」
鉄騎兵を連れている彼女は、少し困った表情をしていた。
地面に倒れ込んで疲弊しているアフレクションネクロマンサーだという少年、最初に見た時から疲弊していたのは明らかで、その状態で特別な鉄騎兵を倒す事が出来たというのは信じられない事なのだが……
「これで良いでしょ!?アフレクションネクロマンサー様だって証明したでしょ!?」
リーフの叫ぶ声が聞こえる。
約束を守るなら…自分の中の情に従うなら、ここで見逃すべきなのだが、
(殺せ…)
自分の中の兵士としての感情が、
(我々の為に殺せ……)
目の前にいる少年達を殺せと囁く。
この大広間に来たのは偶然ではない。
凄まじいマナに似た力を感じたからこそ、普通の鉄騎兵ではなく、怨念を熟成させた特別な鉄騎兵達を連れて来た。
通常の鉄騎兵は緩慢で、簡単な命令しか出来ないのと暴走する危険があったが、この熟成された怨念で作られた鉄騎兵はリミィ様が怨念に話し掛けて、味方になって貰ったという話。




