旅立ち87
初代のアフレクションネクロマンサー様から全てのアフレクションネクロマンサー様達は耳を削ぎ落して、自分の義憤を知らしめたと言われている。
それはまさに正義であり英雄の証明と言えるが、それは同時に己が信じる物の為に戦う反逆者という烙印でもあった。
耳を削ぎ落した時点で色んな意味で普通の暮らしは保証されない、全てを投げ捨てる覚悟が無ければならない。
自分と同い年くらいの少年が、自分達を救う為にその覚悟を持っているかと思うと、胸が締め付けられる。
リーフには、目の前に少年がいるのは見えているが、もしかしたら幻を見ているのかもしれないと、触れてしまったら霧が晴れるように消えてしまうので無いかと、恐る恐る近付いて行く。
物語の中にしまわれてしまった存在。
アフレクションネクロマンサー様が、物語の中から姿を現して目の前にいる。
リーフは手を伸ばせば触れられるという所まで近付き、膝を付けて、
「あの……」
何て声を掛ければ良いのかと、ここまで必死になって来たが、初めて会った時に何て声を掛けるかというのは一切考えていなかった。
(この子が…いや、さっきの人か……)
暗闇の中で自分を照らす光が眩しくて、目の前にいるのが誰か分からないが、声の質は自分と同じような子供の幼い感じで、女性だというのは分かる。
しかし、その体格の大きさは明らかに自分より大きく、大人の体格。
子と言うには失礼だろう。
何を勘違いをしたのか分からないが、それは別として、先程のような殺意を向けての来るのではなく、対話を求めて話し掛けて来るのなら、こちらも何か喋るべきであろう。




