旅立ち84
体を離されたことで自由になった礼人は、今度は指先では無く、手の中にハンドボール程の球体を作り出し、
「消え失せろ」
礼人の無慈悲な言葉と一緒に放たれた球体によって、何かは一言も叫ぶことも無く、ブラックホールに包まれたかのように存在を消した。
「ふざけたことを言うから」
礼人にとって命を奪う単語は許せるようなものでは無く、ドラマとかの流れで出て来て聞く分には我慢出来るが、喧嘩とか言い争いとかでその言葉を聞かされると、礼人は容赦無く、その言葉の重さを相手にぶつける。
そこに罪悪感は無い。
汚らわしい言葉を使った相手を消滅させたことは、礼人にとって正義そのもの。
消し去った相手の事等、微塵にも考える事無く……何も考えずに撃ち込むものだから、
「あっ……」
頭の中の血液が逆流したような感覚に襲われると、立ち眩みを起こして、赤い怨念の液体の上に膝を付く。
後先も考えずに、撃ち放つ一撃は究極の一撃だがその分、力も大量に使い、体もボロボロになってしまう。
今にも気を失いそうなクラクラする頭だが、体をズキズキと叩いてくる感覚が意識を保たせ、
「…ここは、どこなんだ?」
クラクラする頭で、周囲を見渡す。




