夢の中27
あまりにも身勝手な行為。
日本という国の中で外国人が浮いて見えるのは致し方無い事なのだが、それでもアニーの浮世離れは逸脱している。
アメリカからの教会から派遣されて来たと言えばそれまでだが……
「じいちゃん!!アニー!!」
怒鳴り声と嘲笑が混ざる中を礼人の大声が裂く。
「おかしい!!おかしいんだ!!沢山いる!!沢山いるんだ!!」
「なんじゃと!?」
「沢山ですか……」
その言葉は周りの全員を緊張の渦に巻き込む。
沢山いるということは乱戦になる。
数は?こっちより少ないのか多いのか?
質は?まとまって鬼のような霊力なのか?それとも一人一人が鬼のように強いのか?
緊張が走る。
礼人は固唾を飲みながら森の先を見る。
さっき礼人が放った霊力の霧が妖に飲まれた際、意識がリンクした。
そのお陰というのも変だが、礼人は妖の位置を特定するに至ったが、
「分からない……人が…人が蠢いてて……苦しそうで……」
その一瞬で礼人は怯え切ってしまう。
もし、この畏怖する状況にアニーがなってしまっていたら……そう考えれば礼人が犠牲になったのはある意味良かったのかもしれない。
礼人は恐れおののきながら、妖がいる方をじっと見付める。
目の前にいる存在が怖い存在だと認識しているからこそ目が離せない。
礼人は恐怖で走る心臓を落ち着かせようと呼吸を整えるが、
『『おおおぉおおおぉぉおおぉおおぉぉおお!!!!!!!!』』
「ひっ!?」
幾重もの者達が怨嗟の声が自分の体の中に響くと、声にならない声が漏れる。
するとその瞬間、
「皆さん来ますよ!!」
アニーは礼人の機敏に反応して剣を握り締めて鞘から引き抜く。




