旅立ち69
じいちゃんは自分が霊能者として困らないように、有能な霊能者になって欲しくて修行を積ませたのかもしれないが、アニーはこうなる事を見越していたのかもしれない。
そうして、しばらくの間を次元の海で過ごし、それなりの時間が経って、そこから長い時間が流れた時、
「けほっ!?」
礼人は赤い怨念を口の中に含んでしまうが、それは長い長い時間が経過したことで、礼人の中のバランスが崩れてしまったのでは無い。
(怨念が強くなってる!?)
口の中に入って来た怨念を吐き出す時、お粥のように口の中でねっとりとして、山椒を舐めたかのように舌が痺れる。
間違って赤い怨念を消滅させてしまわないように、無駄に力を消費しないようにしていたのが裏目に出た。
ギリギリのラインを保つことに必死になって、少しでも周りの怨念が強くなった時に合わせて力を強める事を怠ってしまう。
(落ち着け礼人!!こんなの簡単に対処できる!!)
先程、口に入ったモノをお粥と山椒で上品に表現したが、そこに味の事を考えると腐った物を口の中に放り込まれて、口一杯に汚らしい液体が広がって生理的拒否反応が出て、その不快感を消すために力を高めて……
(ア…フレク………サマ………)
(……っ!!)
自分をアフレクションネクロマンサー様と呼ぼうとした声で、赤い怨念を消滅させようとしたのを思い留まる。
口の中に広がった怨念に拒否反応だけで全てを消し去ろうとしたが、この怨念の中には自分の味方をしてくれる魂がいる。
生理的拒否反応だけで、脊髄反射的に消滅させてはいけない魂がいる事を思い出す。




