旅立ち62
もちろん、後ろ髪を引かれる思いはある。
食料よりもアフレクションネクロマンサー様を見付けた方が、自分達の為になるのではないのかという想いだってある……想いだってあるが、現実はそんなに甘くない。
アフレクションネクロマンサー様に会いたいという願いが、みんなを死に直結すさせるというのなら、諦めざるを得ない。
アフレクションネクロマンサー様を諦めて進める足は重く、一歩一歩進める足は億劫で……食糧庫へと進めていた足が次第に遅くなり、
「リーフ?」
最後には足を止めてしまっていた。
「どうなされました?」
突如として足を止めたリーフに、ビレーも周りの者も不思議そうにリーフの方を見ると、
「みんな…迂回しよう……」
リーフの顔は暗く、何かを我慢しているのか震えながら俯く。
リーフは耐えられなかった。
これ以上、まっすぐに食糧庫へと向かうことが…我慢しているのに震えが止まらない……
みんなを困らせないように、もっと上手な言い方が出来れば良いのに……
「あっちに…行っちゃダメ……」
これ以上先に進めない。
食糧庫までは後もう少し……もう少し進めば、食料を奪ってそのまま逃げだ出せば良いのに……
「やはり、アフレクションネクロマンサー様が気になるのですか?」
「違うの…あっちに…怖いのが沢山いる……」
この先から感じる異常な気配に、リーフは前に進むことが出来なくなってしまっていた。




