旅立ち50
それを承諾すれば、我々を束ねて守る長、フレン様への裏切り行為に等しい物を感じたが、
「…………姫がお腹一杯で倒れてしまう程に、奪って来てまいります」
「うん!!期待してる!!」
ここで、これ以上の押し問答をしている暇は無い。
食料を見付けないといけないのは間違いの無い話。
その先で何かあったのなら、ここでの約束を反故してしまえば良いだけ。
最初の話は絶対に成し遂げなければならないが、後の話はいくらでも変えてしまって構わない。
そんな、みんなの腹積もりを知ってか知らずか、リーフはみんなが納得してくれたと思い。
「それでは、これより抜け道の入り口まで進行します!!」
「「はい!!」」
姫と崇められ、フレンの娘として号令を掛けると、ビレー達を含めてみんなが一糸乱れずに返事を返すのであった。
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闇に包まれた森の中、先に進むためには周囲に筒抜けになる程に明るい松明はもう使えない。
リーフは明かりの光度を落とし、足元を照らす程度の光のモヤをみんなの足元に広げる。
それは暗い映画館の足元を照らすライトよりも暗く、足元の地形がギリギリ見える程度の光。
足元を僅かに照らす程度の光だが、
「みんな大丈夫?もう少し明るくしようか?」
「いえ、大丈夫です。ここは警備で通っていますから」
「少し見えるだけで十分です。これ以上明るくすると敵に居場所がバレてしまうでしょうし」
心許無い光ではあるが、この心許無い光が敵に見付からないで進める安心感を産み、微かな光ではあるが以前に警備任務で歩き回っていたお陰で、体が道を覚えていて前に進める。




