旅立ち46
「みんな聞いてくれ……元々、死ぬかもしれない状況から何とか生き延びるために、我々は敵の拠点に忍び込むという計画を立てた。だが、これがどれだけ無謀な行いかはみんなも十分に理解していただろう……」
「…………」
ビレーの言う通り、敵の拠点に忍び込んで食料を盗むと簡単に言ってはいたが、実際には森の中の巡回している敵兵にバレない様に進み、兵士がこれでもかと常駐している所へ行くというのだから、考えなくても玉砕覚悟の死の突撃に近いのは分かっていた。
「それでも、誰一人文句を言わなかったのは、生きて帰るにはそれしか方法が無かったから……それに対して、リーフがやろうとしていることは、やらなくても良いこと……生き延びるためにはリスクになる」
生き延びる望みが薄い中で、余計な事をする余裕は彼女等には一切無い。
それが現状であり、リーフのやろうとしていることを無謀な事だと諫めるのが、ビレーの役目なのかもしれないが、
「しかし、こうも考えて欲しい。ここまで敵にバレているのに無事に来れたのは、アフレクションネクロマンサー様の御加護があったからこそ……もし、我々だけで何とか食料を奪う事が出来たとしても、その後はどうなるか?奴等非情なる者達に追われて、処刑さるかもしれない」
「…………」
決して口走ってはいけない言葉、無謀な行いの先に待っている最も訪れる可能性の高い事を言ってしまうと、みんなが悲愴な面持ちで顔にしわを寄せる。




