旅立ち44
赤いモノは生者に憑りつく。
それは食事をする口から、空気に触れる肌から、マナを体内に取り込んだ時からと、ありとあらゆる所から……赤い空の下にいる限りは生きとし生けるものは瘴気に侵される。
砂時計の砂のように一粒の赤いモノは大したことは無いが、一粒一粒と蓄積していけば時を刻む砂時計のように、赤いモノが体の中で染み込んで蓄積し、最後には自分を奪われてしまう。
その一歩手前の状況が、肉体的には打撲して肌が黄色くなるように皮膚の下が赤みを帯びたり、精神的には夢の中で赤いモヤが掛かったりする。
見た目では精神的な部分は分からないが、肉体的な見た目で言えば赤みの帯びていない健康的な状態だというのは分かる。
この状況下で、リーフの中に巣くっていた赤いモノを消し去るという奇跡が起こせるとしたら、
「……あそこにアフレクションネクロマンサー様がいるんだね?」
それは、リーフが見つめる先……敵の拠点の中に落ちたというアフレクションネクロマンサー様であろう。
リーフだけがアフレクションネクロマンサー様を感じ取ることが出来るのは、体を赤く染めあげられて、心も侵食されて赤いモノになってしまうという所で救って貰えたから。
ここまで鉄騎兵と出会って見過ごされて来たのは、アフレクションネクロマンサー様の御加護があったから。
有り体な言い方になってしまうが、それは運命と言える物なのかもしれない。
ビレー達は、リーフの口から出たアフレクションネクロマンサー様の名前に、ここでどうしたら良いのか分からなくなってしまった。
出来れば、アフレクションネクロマンサー様をお連れして逃げ出したい。
しかし、光を灯して闇の中を走ったのだから間違い無く、敵には自分達の居場所はバレている。
ここまで来れたのは、あくまでもアフレクションネクロマンサー様の御加護によるもの、アフレクションネクロマンサー様の御加護があるからと言って、敵にバレている状態で拠点に入り込むというのは……
「みんな…聞いて欲しいの……」
みんなの不安……どうしたら良いのか分からなくて狼狽してしまっている中で、リーフの凛とした声が透き通る。




