旅立ち42
子守歌のように聞かされてきた英雄。
初めてのアフレクションネクロマンサー様は国を造るために力を貸し、それからのアフレクションネクロマンサー様達は世界を正すために力を貸した。
ならば、次に来たアフレクションネクロマンサー様は?この混沌と化した世界を救って下さるのかもしれない。
何の根拠も無くても、自分の心の中であの銀の光がアフレクションネクロマンサー様を連れ来ている流れ星だと信じながら、必死に追いすがると、
「あっ……」
赤い空を駆ける銀の光が失速して、地上の方へと降りていく。
それは必死に追いすがるリーフの想いが通じたのかもしれないが、
「あっちは……」
失速して地上へと向かって行く先には、敵の拠点が見える。
必死に追いすがるリーフの想いが通じて失速したのかもしれないが、どうやら自分の下へと来てくれるほどには甘くは無いらしい。
敵の拠点へと落ちて行く銀の光に、猪突猛進で突き進んで追い掛けたリーフも、自分が行こうとしている場所がどこなのか理解して足が止まった。
敵の拠点に入り込めば鉄騎兵だけでなく、エルフやオークがいるのは間違い無く。
もしも、そのエルフやオークに出会ってしまっては(その子から離れろ!!)という魔法の言葉は自分を守ってくれない……そんな気がした。
そう、リーフがここまで無我夢中で追って来れたのは、あの銀の光が自分の事を庇護しているのが分かったからであった。
夢の中で赤く染まり上がり、マナを同化されて自分の体が赤いモノの器にされた時、銀の光の声が自分のマナと器に共鳴して、体の中に入り込んだ赤いモノは恐れて離れていった。
そして、目が覚めて意識が完全に戻った時には、この体の中に共鳴する何かを感じることが出来たからこそ、赤いモノで満たされている鉄騎兵がパトロールをしている闇夜の森の中を恐れる事無く、走り抜けることが出来たのだ。




