旅立ち37
不安と絶望で心身共に疲弊していたからか、目を閉じて少し息を吐くと寝息を立てて眠る。
リーフはせめて夢の中だけでも、まだ戦場に連れ出されること無く、赤い空など見上げる事無く、澄んだ闇の中で美しく輝く星空を見上げていた静かな時間を過ごしたいと願ったが、
(んん……)
夢の中にまで赤いモノに忍び込まれ、眠っているのだがぼんやりと意識がある。
赤いモノが広がって夢の中を覆い、そこで言葉にならないざわつきをあげている。
何を言っているのだろうか?恨み言?嘆きの言葉?怒りの慟哭?
せっかく眠りに付いても、煩わしい声が自分に囁き続けられて、
(うるさいよぉ……)
陽の光が眩しくて、自分の目を押さえるような子猫のように、弱々しく自分の耳を塞ごうとした時であった。
((……!!……っ………!?………!!))
いつも苦しそうにざわついている赤い空が、いつもと違う声を上げた。
赤い空の声を聞かないように塞ぎ込もうとしていたリーフであったが、いつもと違う赤い空のざわめきが気になって耳を貸すと、
(……驚いてるの?喜んでるの?)
いつもと違う赤い空、いつもでは決して聞く事の出来ない、湧き立つような歓声を上げている。
(一体何が起きているの?)
ぼやけている意識の中で、赤い空に目を向けると、
(あれは……)
全てを赤く染め上げる赤い空の中を、銀色に輝く流れ星が駆け抜けていく。
(希望……なの?)
それは子供の時に見上げて美しいと思った星の輝き、リーフは夢の中で瞳に映る、輝く銀の光を見失わないように走り出していた。




