旅立ち34
何度も何度も戦場に連れて行かれはしたが、その度にみんなが守ってくれて、そのお陰で幾度も幾度も故郷に帰ることが出来たのだが、
「すまない……」
年老いたオークは悔しそうに唇を噛む。
敵の部隊への襲撃を命令されたリーフ達は、本国から派遣された見張りの兵団達と向かう事になったのだが、その道中で不運な事に鉄騎兵の軍団と接敵してしまう。
そこは一瞬で戦場と化し、生き延びる為にも戦うしかない……となった時に本国から来た連中が、リーフ達を囮にして逃げ出してしまったのだ。
本国の連中に囮にされて、残って戦えば自分達は間違い無く死ぬ。
自分達もその場から逃げ出したが、遅れて逃げ出した為に否応無しに殿にされ、物資を持ち運んで逃げる等という器用な事など出来る訳も無く。
何とか本陣に戻ろうとしたが、鉄騎兵の軍団に追われてはそれも出来ず、仲間から犠牲を出しながら散り散りに逃げ出し、何とか逃げおおせた時には、手元にはほとんど何も無かった。
この状態では数日も生き残れないと、食料だけでも奪えれば何とか生き延びる一縷の望みが手に入ると、運を賭けて、敵の拠点近くまで来たのは良かったのだが、拠点の周りは鉄騎兵達が警備のために徘徊しているのであった。




