旅立ち28
結界を張るというのは強大な力で押さえつける力も重要だが、長い時間、結界を張り続けないといけないこともある。
「このままアレを捕まえます!!」
目の前の敵を値踏みしてみて分かる。
意識を保ったまま、この世界に来たのだから、かなりの実力者だと思ったのだが、
(えぇ、大したこと無いでしょ?口だけの将軍様よ)
(キサマぁあぁぁアァアあぁあぁぁぁ!!!!!!)
白い目にはしっかりと見える、しっかりとした意識を持った魂の周りに、怨霊がラップのように絡み付いている。
それは、力無き者が意識を保ったまま、この世界に来るために編み出した方法なのだろう。
強い力で見ていたため、意識を持った怨霊と赤い怨念が一体に見えていたが、実際は別物、これなら1人でも捕らえることが……
(でも、まだまだ甘いです)
「えっ……」
1人でも捕らえられると思った矢先、
(行け者共!!奴等を殺して恨みを晴らせ!!)
((アァァアァあぁアアァアァああぁ!!!!))
結界の中を所狭しと赤い怨霊が溢れ返る。
「うっ!!」
結界があるお陰で、自分達の方に怨霊は襲って来ることが出来ないが、目の前でコップに注がれた液体のように結界の中が一面赤くなる。
(確かにあの方は残酷な方でしたが、それは敵と身分の低い者に対してのみ。それ以外の方には誇り高い武人として慕われていました。だから彼の一声で集まる者もいるという事です)
「…………」
(正義は人によって、国によって変わります。英雄としてアナタを向かい入れてくれる人もいれば、アナタを邪魔者として捉える人もいます)
まさに、その言葉の意味を実感している。
あの魂の命令通りに、嗚咽を漏らしながら自分の事を憑り殺そうと、ミキサーで具材がグチュグチュになるように怨念が結界の中で踊っている。
怨霊の力自体は大したことは無いが、見ていて気持ち良いものでは無い。
「……では、やりましょう!!」
(えぇ!!)
気を引き締め直し、赤い噴出孔を閉じてから目の前の魂を捕獲し、怨霊を消し去る……それは一人では上手くいかなかっただろうが、リミィとならば十分に出来る。




