旅立ち24
事前に話をされていたお陰でリミィは、怒りの頂点に達した無慈悲な礼人の力に対応することが出来た。
(私達の世界では、残り少なくなったマナを求めて、エルフとリザードマンが争っています)
彼の力はまだ未熟なモノであったが、それは鍛錬が足りないとかサボっていたとかの怠惰から来る未熟ではない、子供という熟していない果実だからだ。
年月を重ねて大きく育てば、彼は信じられないほどの大木……世界樹のように世界を包む存在にだってなれるだろう。
それに復讐心はあるにしても、自分が作った鉄騎兵を悪と言い切って断罪しようとする正義感は、きっと自分達の考えを理解して力を貸してくれるはず。
リミィの中ではもう決まったのだ、目の前にいる少年には自分達の世界に来て貰って、アフレクションネクロマンサーとして英雄になって貰いたいと決めたのだ。
(これが単なる種族間の争いで、種族間の滅ぼし合いなら私は自分達の種族を守るために戦っていたでしょう……ただ、私は知ってしまったのです。この本当の戦争の目的……)
(裏切者よ!!アフレクションネクロマンサーよ!!)
「誰だ!?」
(バレてしまいましたか……)
自分達、礼人とリミィとは違った声が響くと、その声には最初から悪意が籠っている。
顔すら素性すら知らない相手に対して怒気を、憎しみを含ませて荒げる相手がまともな訳が無い。
どこから声が入って来るのか、リミィだけに向けていた意識を周囲の警戒に向けようとすると、
(ここから来ます!!)
リミィは自分が出て来た赤い噴出口から離れ、礼人の張っている結界を易々と越えて、自分の横に並ぶ形で側に立つと、
(二人で結界を張れば、なんとも無い相手ですので慌てないで下さいね)
『ピィン!!』
リミィが祈るために手を握り締めると、あまりの力に結界の通り道に張った針金が、耐え切れずに千切れてしまう。




