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旅立ち8
そして、普段から置いてあるサバイバルキットを背中にしょい込んでから、姿見の鏡に自分の姿を映して忘れ物が無い事を確認して、
「……あぁ、そうだった」
一切の忘れ物が無い事を確認出来たのだが、一つだけ忘れていたことがあった。
テーブルの上に置きっぱなしにしていた、プライベート用の携帯電話を手に取り、ダイヤルを押してある所に電話を掛ける。
一回目の相手を呼び出すコール、二回目の相手を呼び出すコール、三回目の呼び出すコール……
こんな真夜中に電話を掛けるのは非常識だとは思うし、そもそも会話をしたくて連絡を入れているのではなく、留守番電話になって、そこにメッセージを遺すことが出来ればと……
『礼人?どうしたんこんな真夜中に?』
「ごめん。今さ、緊急事態が起きてさ……」
「まじで!?それって俺達にも影響が出るレベルで!?」
「そうなんだ……下手したら日本が崩壊するかもしれないレベルでね」
「なに!?八岐大蛇でも出たの!?」
メッセージを残すことが出来ればと思ったのだが、電話をした向こうの主は、こんな真夜中でも礼人の電話取って、話に付き合ってくれる。




