旅立ち6
そこにアニーさんがいる…アニーさんの魂を還したら、今度はじいちゃんの魂を見付けて……
「アニーさん……」
カーテンを開けた先には何もいなかった……
「ふっ…ふふふっ……」
礼人は自分の頭を押さえ、自分の馬鹿さ加減を笑う。
「本当に馬鹿だよな…なんで気付かなかったんだろう……」
なぜ…なぜと自分を笑い。
「なんで分からなかったんだ……」
笑みをこぼし、狂ったように息を漏らして笑いながら、気付けなかった自分を笑いながら……
「あの世界に、復讐するべき相手がいるんじゃないか!!」
窓一面に広がる、濁った赤い入道雲を見ていた。
頭が回っていなかった。
あの世界を見た時になんで気付かなかったのだろう。
「よくも!!よくもやってくれたな!!」
あの世界にいた鋼鉄の体を持った存在は間違いなく、鋼鉄の巨人だった。
夢の中で見て、疲労困憊からの寝起きだから頭が回っていなかったのが原因なのか?
他の世界の話と片付けてしまおうとしたが、よくよく考えればあれは鋼鉄の巨人…自分達の世界にやって来た悪魔……向こうが関係無いと言ったって許す訳が無い。
礼人が、自分自身を笑ったのはアニーさんの魂を生まれ変わらせようとした自分が滑稽だからではない、そのチャンスがあればいつでもやってやろうと思っているぐらいだ。
自分を笑ったのは、呆けてあの世界をスルーしてしまいそうになった事の馬鹿さ加減だ。




