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異世界50
だが、この地から離れる前に貴族共はフレンを執拗に叱責するだろう……なぜ鉄機兵が城内に忍び込んでいるのか、兵士達の鍛錬を怠っていたのではないのかと。
散々フレンに悪口の叱責を浴びせた後には、さも当たり前かのように殿を務めさせ、また嫌な役目をフレンが務めることになる。
そのことを二人のオークは心配していたのだが、
「なに……慣れていない指揮を貴族の皆様に執って頂くより、私に指揮権を譲って頂く方が良いだろ?」
「……そうですね、フレン様に指揮を執って頂く方が我々も戦いやすいです」
「だろ?…それに……」
「それに?」
「戦場に行っている娘のためにも、逃げる準備を用意しておきたいしな」
フレンは物言わぬ鉄機兵の頭を愛おしく叩くと、再び会議室へと向かうのであった。




