異世界48
今は猫の手を借りなければならないほどの状況、その中で二人を選出して欲しいと言われれば、怪我をしているとはいえ、命に別状の無いのはこの三人だろう。
二人は腕から血を流し、一人は足から血を流す。
ベルガは先に足から血を流すオークの方を見て、
「一人で大丈夫か?」
「もちろん大丈夫です。お気になさらないで下さい」
足から血を流すオークはこの時点で兵力として連れて行く訳にはいかず、だからと言って両足から血を流していては鉄機兵を運ぶには難儀する。
ならば、このオークには一人で治療室まで行って貰うにして、残りの二人には悪いが、
「我々がフレン様に付けば良いのですね?」
「すまんな」
片腕から血を流しているこの二人のオークが適任であろう。
話がまとまり、皆を連れて行くベルガを見送ってフレンと三人のオークだけになった所で、
「本当に一人で大丈夫か?何だったら先に……」
「いえ、この通り大丈夫でしょ?」
「そうです、フレン様。我々オークは鉄機兵に負けない強い身体を持っているのです」
足から血を流すオークは、フレンが何を言わんとするのか分かると、立ち上がって身の頑丈さをアピールすると、腕から血を流すオークも続けて傷口を抑えながらガッツポーズを見せる。
「そうか…そうだったな……よしっ!!鉄機兵を運んでくれ!!」
「「おうっ!!」」
「ご武運を」
フレンの指示でオーク二人で鉄機兵を両脇に抱え、フレンの後を追う。
フレンの後を追って、長く入り組んだ廊下を壊れた鉄機兵を運ぶオークであったが、
「あの…フレン様……」
「どうした?」
「いえ…この鉄機兵を見せても、あの方々は納得しないのではかと……」
みんなが離れてから、自分達が運ぶ、ベルガの手によってボコボコに壊された鉄機兵を少し高く持ち上げる。




