夢の中19
例に挙げた生き者達に共通することは、人が道具を利用することによって手にすることが出来る能力を、生まれながらにして持っているという事。
その能力は人間のように情報を集めたり記録が出来ない生き物達が、地震や台風等の災害をその力だけで事前に察して逃げ出すことが出来る位に優れている。
ここまで言えば分かってしまうかもしれないが、彼ら霊能者は霊力は自然界に生きる動物達の能力に匹敵し、それが第六感という確かな器官として存在する。
そのために霊能者等の特殊な人間達は第六感ではなく、第七感と呼ぶのである。
そして、二月の第七感の精度は言わずもがな、動物と同じ能力を持ちながら人としての知識、歴戦の経験が合わさってその予感は戦いにおいては十分信頼に値する程であった。
(良くない事が起きるかのぅ……)
二月の目に敵が見えている訳ではないが、第七感がざわざわと訴える。
幾つ年を重ねても……いや、幾つものの年を重ねて来たからこそ、このざわつきが胸を締め付けてくる。
幾つ年を重ねても戦いの雰囲気は体が嫌でも反応してしまう、恐怖とも武者震いとも言えないこそばゆい感覚に、
「……にしても今夜は冷えるのぅ」
「年が暮れて、新年の朝日が拝めるという時に難儀をします」
雪積もるこの山が体に堪えると二月はやれやれと首を傾けながら、やり場のない感覚を我慢する。
そうしている間にアニー達の作業が終わり、次に二月が外を警戒する番が回るが、
「いかかですが?初めての戦場は?」
「正直…気持ち悪いです……」
礼人は続けて休憩を取り続ける。
礼人はここまで周りを警戒しながら付いてくるという行いしかしていないのに、何をそんなに疲弊することがあるのかとも思うかもしれない。
だが、例えばの話だが、いきなり銃を渡されて「周りはベテランで固めてあるから」そう言われて山の中で一度もクマ狩りをしたことを無いのに行かされて、精神をすり減らすなというのが無理な話。
礼人も二月のように額に手を擦りながら首を振るが、あくまでもこれは疲労から来る動作であった。
「実際の場の空気というのは中々キツイでしょ?」
「……現実を舐めていました」
「そうです。あなたは頭では分かっていても、心のどこかではどうにかなるだろうという甘さを持っているんだろうとは思っていましたよ」
追い打ちを掛けるかのように戒めの言葉を投げかけ始める。




