異世界30
雷球を放射させることによって威力自体は皆無になるが、確実に電磁波を相手に浴びせられる事ができ、その効果は筋肉の弛緩や緊張、目の異常、吐き気等を与える。
そして、このようなゴーストを使った鉄機兵の場合でも、霊体というエネルギー体を身に宿している鉄機兵に電磁波は影響を与え、束縛したり、拡散させたりして弱体化を図ることが出来る。
戦場を有利にさせることが出来るという素晴らしい利点があるのだが、ここで問題がある。
マナから魔力を形成出来るのはエルフだけと言っていい。
これがどういう事かというと、エルフはマナを体内で魔力に変換し、鉄機兵は自分の体の霊体を使用することで魔法等を威力を軽減できるのだが、それ以外だとリザードマンくらいで、他の者達は生きるのにマナを使用するだけであり、魔法等を軽減することには出来ない。
マナを魔力に形成出来ないオークは特殊な鎧などを身に付けない限りは、サンダーウェーブの影響をもろに受けてしまう。
だから、そうならないようにハンマーを投擲したのだ。
鉄機兵はサンダーウェーブによって自分の中の霊体が束縛されたり、拡散されないように身を縮めて霊体を圧縮して固めた所へ、オークの投げたハンマーが弧を描きながら鉄機兵に一気に迫る。
そのまま棒立ちしていれば、鉄機兵はハンマーで致命傷を負ってくれたのだろうが、
『ガシャガシャガシャガシャ』
鉄機兵はハンマーがぶつかる前に、鉄の擦れる音をけたたましく鳴らすと、自ら自壊した。




