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異世界29
身動きをしない鉄機兵にサンダーウェーブと呼ばれた雷球はまっすぐに飛び、鉄機兵に当たる直前で雷球が弾けると鉄機兵を中心に青白い光が広がる。
青白い光に包まれた鉄機兵はそのまま微動だにせず、まるでショーケースに飾られた甲冑のように動きが止まる。
身動き一つ取らない鉄機兵に、
「油断はするな!!近付き過ぎるなよ!!」
「おぅ!!」
ベルガの声に一陣を任されたオーク達が前に飛び出す。
鉄機兵に向かって駆け出したオーク。
2mを越える巨体、膨れ上がった両の腕で持つハンマー、質量で敵を圧倒する肉の弾丸となって一直線に鉄機兵に向かう。
鉄機兵目掛けて加速して最高速になった瞬間、オークは体をその場でスピンさせると、ハンマー投げの要領でハンマーを投げ飛ばす。
その巨体を持って敵に襲い掛かると想像した人には拍子抜けかもしれないが、これはサンダーウェーブが影響している。
サンダーウェーブというのは敵を討つものではない、サンダーウェーブはあくまでも影響を与えることを主眼に置かれた術である。




