異世界28
『ヒュッ!!ヒュッン!!ヒュッ!!』
しゃがむオークの頭上を雷球が飛び、鉄機兵の方へと目掛けていくと、
『ガシャガシャガシャガシャ!!』
鉄機兵は雷球が当たる寸前に手慣れた様子で体を半身にして雷球を避け、続け様に飛んでくる雷球もワルツを踊るかのようなステップを刻んで避ける。
「くっ…サンダーウェーブ!!ベルガ!!」
「分かった!!サンダーウェーブ後に一陣行くぞ!!」
「おぅ!!」
最近の鉄機兵の練度は上がっていた。
それこそ前線でオークの巨体とやり合い、エルフの魔法の対抗する砲撃術を身につけたり……新兵から鍛錬を積んだ兵士のように……
強いゴーストゴーレムを作るには、リスクを承知で強い死霊を憑依させなといけない。
前線に出てくる鉄機兵にリスクを承知で強い死霊を憑依をさせるのは分かるが、このような旧式の鉄機兵にまでそれをしてくるというのは、いかんせん理解し難い所がある。
理解し難い所はあるのだが、
「サンダーウェーブいきます!!」
再びエルフから雷球が飛び出して廊下を白く光らせながら突き進み、それに対して鉄機兵はステップを踏むのを止めて、首と肩を縮めて腕を体の前でクロスさせて防御の姿勢をとる。




