夢の中17
そういう事情から休憩を取る訳にはいかないが、休憩を取らなければ敵と接敵した時に成す術も無く殺されてしまう可能性もあるのも事実。
この悩ましい状況で二月が取った行動は、
「アニー、一陣と変わって前に出るんじゃ……みんな良いか、今は前に進むことを優先するが、もう少して瘴気が薄れるか瘴気の元を塞ぐことが出来れば休憩を取るとする」
「分かりました…」
「まぁ、そうするしかないでしょうね」
一陣と二陣の位置を変えるという事であった。
たったそれだけの対処法に思えるかもしれないが、雪を踏みしめて道を作りながら瘴気の盾になる役目が変われるのだから、多少はマシにはなる。
こうして一陣と二陣の場所が変わり戦闘にアニーの部隊、後方に二月という形になるのだが、
「じいちゃん俺も……」
「ほほっ、お前は二陣にいるのが任務じゃ」
礼人は相変わらず後方の部隊に混ぜられるのであった。
「さぁ皆さん、今度は私達が前に躍り出ますよ」
一陣に変わったアニー達は、吹雪の中を進むかのように額に腕を当てて進んで行くが、
(困りましたねぇ……)
アニーは内心では苦虫を噛むような思いをしていた。
先程の一陣と二陣の立ち位置がそのまま変わる……それはそのまま自分に与えられた使命が変わってしまったという事だ。
(この人達に死んで欲しい訳ではありませんが、私も死ねない理由があるんですが……)
死ぬ事は怖くないとか、生きて帰って会わなければらない人がいるとかでは無いのだが、それでも死ねない理由があるのだが、
(そこは神に祈りますか……我々の神様にね……)
____こうして、数度の立ち位置替えを行いながら瘴気の中を強行で進んでいた一行に、
「二月様、前に……」
「うむ……」
地面に一筋の赤い裂け目があるのを見つける。




