異世界1
怒号が響く。
オークの吼えるだけで空気を震わせる声、攻めてくる敵を打ち倒そうと2mはある土色の巨体が躍動し、手に持った鉄のハンマーが「ブォン」と空気を震わせる。
その人間とは違う対格差に、側にいるだけで恐怖で震えてしまう。
そして、そのオークの怒号に混じって、エルフの声が響く。
エルフの声はオークとは対照的に透き通るような声で呪文を唱える。
全ての生命の源のマナを造り出す世界に祈り捧げて、マナを分けて貰うとエルフは野球ボールのように小さな雷球を産み出し、それを敵に目掛けて飛ばしていく。
力で押し通そうとするオークと、呪文で戦況を打開しようとするエルフのコントラスト。
それは、ありふれた物語の中のどこにでもある戦争。
オークの力任せの攻撃に敵は吹き飛び、エルフの祈りの魔法が敵を討つ、一進一退の攻防戦。
どちらが力尽きるのが早いのか、命懸けの争いが続く。
押しては引き、引いては押し、一進一退の攻防が長い時間続いていたが、エルフから飛び出していた電撃の弾丸の数が次第に少なくなり、同時にオークの力任せの攻撃が衰えを見せる。
長い時間の戦いにオークは手にしていたハンマーを振り回すほどの力を無くすが、それで敵に背を向けて逃げる訳には行かない。
手にしていた武器を捨てると両の手を握り、まるで岩のように膨張した拳で敵を殴る。
一発目の拳が相手の顔面にぶち当たり、敵はその身を大きく傾ける。
揺らいだ敵の体にオークは何の躊躇いも無しに二発目の拳を撃ち込もうとするが、敵は突如として姿を消す。
何が起きたのか?
自分が相手をしていた敵を探そうと目を動かそうとしたが景色が歪むと、2mの巨体を支える足が突如して崩れ、次の瞬間には赤い空が見えていた。




