プロローグ10
「すまん……」
本来なら、リディが収集を付けないといけなかったのに、リディにとってミィオは特別な人物なのか、強く出ることが出来ず、成すがままにされる所を彼が止めてくれた。
「そういう事だから……」
彼が止めてくれたのを利用して、その場から離れようとするのだが、
「お前のせいで、リディさんが怒られちまっただろ!!!!」
「ぐぅえぅぅ!!!?」
美優は掴んでいたリムルの頭を強く握ると、リムルの頭から、果汁か何かの汁が飛び出るようなことは無かったが、口から変な声が代わりに漏れ出す。
「アネキギブギブッス!!」
美優の握る力はかなり強いらしく、数秒も待たずにリムルはあわあわと手足をバタつかせて何とか難から逃れようとするが、
「誰のお陰で、あたしらが生活出来てると思ってるんだぁぁぁぁぁぁぁぁ!!!!!!!!」
「リディィィィィィィだぁんのおがえげすっスゥゥゥゥゥ!!!!!!」
お仕置き執行が許されることなく、泣きながら謝る子供のように、ミィオは叫び声を上げてしまう。
「ばっ…!?よせ!!」
「大丈夫ですよ!!これの扱いは十分熟知してますから!!」
「離してぇっっっっスゥゥゥゥゥ!!」
事態は悪い方へと転がっていく。
叫び声を上げさせるなと言っているのだが、美優はミィオに対しての折檻を止める事無く、脳汁を絞り出そうとアームクローを続ける。
「そうじゃないんだ!!」
これがちゃんと意思が通じ合っていれば美優も、すぐにでもミィオを締め上げるのを止めるのだろうが、
「うらうらうらうらうらうらうら!!!!」
「おもておもておもておもておもてっっスゥゥゥゥゥ!!!!」
半彼女達にとって、この折檻行為はある意味悪ふざけ……要はコミュニケーションの一つみたいなものなのかもしれない。
楽しんでいる二人を、テンションが上がってしまっている二人には、リディの言葉が届いていない。




