プロローグ6
「これは緊急事態なんだ!!こんな事がバレたら、我々は!?」
「そうだな。お前等も、めでたく地上勤務かもな?アタシの部下になるんだったら、生き地獄を味わせてやるよ?楽しいぞ、アタシは子供ん時にRLの駆除をしてたから平気だけど、アンタの年だとキツいかもな?」
「それが親に向かっていう言葉か!!」
ケラケラと笑いながら電話の主を馬鹿にする彼女の言葉に、電話口の相手は、親を何だと思っていると言って、血縁の上で自分の方が優位何だと迫るが、
「情けない奴め。その娘の研究成果を盗んで出世したのは誰だ?忘れんな!!人殺しのアンタがその地位にいられんのはアタシの研究成果のお陰!!アタシの親は隊長達だという事を!!」
「ぐぅ……」
親というアドバンテージは、親に頼らないと生きていけない子供相手になら効果は絶大であるかもしれないが、大人の彼女に、その言葉を投げかける行為は、それ位しか彼女に訴える方法が無い事を露呈させ、電話口の相手を嫌う彼女には、何ら意味を成さない。
「まっ、昔から宝探しは、見つけたもん勝ちって相場は決まっているんだ。アタシが先に見つけたら、貰っていくからな」
「待っ……!!」
電話口の相手は、彼女が電話をもう切ると勘付いて、電話を切らせまいと大きな声を出して気を引こうとしたが、そんなのを意に介さない。
今からトレジャーハンターになって、宝探しに参加すという体裁を相手に見せた事で、自分もこれから彼を探すと思わせ、時間稼ぎが出来た。
「ふぅ…たくっ……」
一応意味のある電話にはなったが、嫌いな奴とのつまらない電話は、どうしても精神的にも肉体的にもイライラが募って仕方無い。
一度車から降りて、飲み物の一つでも飲んで気を休めたい所だが、後部座席の後ろで眠っている彼の事を考えると、一時の時間ですら惜しい。
「ふぅ……」
彼女は飲料を飲んで、このイライラを沈めることを諦めて、代わりに溜息を吐くことでイライラをその場に残して行こうとしたが、
『トントンッ……』
要職関係者車である自分の車を、誰かがノックする。
(油断した!?)
彼女はノックの音を聞いた瞬間に、脇腹のホルスターに隠していた拳銃のグリップを握る。
自分の乗っている車が軍用車だから一般の人間も、警察関係も近付こうとしないだろうと思い、たかをくくったのが自分の車両に人を近付ける要因を作ってしまった。




