黒い海54
この不気味な黒い海の中で待ち続けるのは気が滅入るが、いつも通りなら戻って来るのに数十分くらいで帰って来るだろう。
「……休暇取れないもんかね?」
「そうだな。最近ずっと出ずっぱりだからな」
礼人が帰って来る数十分、陰鬱な雰囲気に包まれないように雑談をすることで不安を取り除こうとすると、
「なぁ……」
「どうした?」
「なんか変じゃないかあれ?」
「色の話か?」
下に見える光、それは間違い無く礼人の放った光で間違い無いのだろうが、何かいつもと色が違う気はしたが、礼人はあの事件以来ずっと鍛錬を積んでいた。
何か新しいものを見付けて……
「そうじゃなくて、こっちに来る勢いが変じゃないか?」
「なんだって?」
その言葉に下から上がって来る光を注視すると、
「ちょ…離れるぞ!!」
とんでもない勢いでこっちに接近して来てくる。
最初、こっちに向かって来ているのは礼人自身かと思っていたが、こんな速度で黒い海を上がって来れるはずが無い。
戦っている時の流れ弾がこっちに来ているのか?礼人が何かしらの事情があって、こっちに放ったのかもしれない。
まだ距離はあるが、まだ距離があるにも係わらずに感じる力。
それは火山口から溶岩が噴火してくるかのような熱さ、自分達を焼きかねない力に慌てて入り口から逃げ出そうとしたが、
「間に合わな……!?」
目測を誤った?
遠目から見た時に、違和感を感じた時に避けていれば間に合っていたかもしれないが、光が近付いてからは一瞬であった。
瞼を瞬く暇も無く、緑に輝く光が……
「みんな!!」
緑に輝く光に包み込まれて焼かれてしまう……っと思ったら、その緑の光の中には礼人がいた。




