世界62
「アフレクションネクロマンサーに、貰って欲しいと言われてな……大事な物なら、リーフに渡しなさいと言ったのだが、リーフにも特別な物を渡してあると言われて、無理矢理渡されてしまったよ」
ビレーは、お守りを持ったままハンマー握り締めて、
「ワシもこれで、アフレクションネクロマンサーかのう?」
リーフの方へと歩き出す。
「オヤジ……俺は副指揮官として、フレンの代わりとして、みんなを連れて行く……アフレクションネクロマンサー様の加護を」
自分の父親が歩き出す背中を見て、父は見送る事を決める。
止める事無く、後を追う訳でも無く……ここでさよならを伝える。
「すまんな、後は頼んだぞ」
息子からのさよならに、ビレーは微笑む。
昔からフレンと一緒にいて、独り立ちも早かったが、これで本当にさよならになるのだと思うと、嬉しかった。
年長者が自分とあって、フレンとベルガは、どうも自分に頼る一面があった。
自分が長年生きた知恵袋というのもあるが、世代交代というのはしないといけない。
自分が死ねば、その途端に後を継ぐのはフレンとベルガ、今まで心配が無いと言えば嘘になるが、
「あぁ、そうだベルガ」
「なんだオヤジ?」
「アフレクションネクロマンサーの予言だ。フレン達は無事に、取り返せるぞ」
「ははっ、アフレクションネクロマンサー様が言うなら間違いないな」
これからは心配無いというのは、本当になる。
「さてと……レンス殿!!鉄騎兵を借りますぞ!!」
「御武運を!!」
レンスの指揮の下、引き下がって行くみんなとは逆の方向に、ビレーは突き進むのであった。
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(これがアフレクションネクロマンサーの力なのか!!!?)
赤い沼を平然と走り、赤いモノから生まれたであろう、赤ん坊を模した化け物を一振りで蹴散らす。
(英雄というのは、過大な評価では無かった!!!!)
赤いモノに満たされた世界は生気を奪い、気をしっかりと持たないと、いるだけで気分が悪くなるのだが、手に握り締めているお守りというのが、自分の事を護ってくれる。
「おじい様!!どうやってここまで!?」
この赤いモノに満たされた場所に、普通の人が来れないのはリーフも感じていたからこそ、目の前に現れたビレーに驚くのだが、
「これを持ちなさい!!」
「これは……武器なの?」
小さな布袋を渡されると、ここに来れた理由を一瞬で理解するのであった。




